理学療法士であり
パーソナルトレーナーでもある私の視点から
「姿勢」や「痛み改善・予防」
についてのお話をしています。
「ボディメイク」も得意で
東京をメインに活動しています、村田育子です(^^)/
現在「足の長さが左右違う(以下:脚長差)」
をテーマにシリーズで解説していて
さらに「脚長差の原因」について
一つずつ各論的な話をしています。
本日は
「変形性股関節症によって脚長差は生じるのか?」
というテーマでお話してみしたいと思います。
【目次】
1. 変形性股関節症によって脚長差は生じるのか?
2. 変形性股関節症によって脚長差が生じる理由
3. 脚長差が原因で変形性股関節症となってしまうことはあるのか?
4. 脚長差によって変形性股関節症を呈した症例
5. まとめ
1. 変形性股関節症によって脚長差は生じるのか?
まず「変形性股関節症」とは
「股関節が変性している状態」を言います。
変形性股関節症では
股関節の関節面が摩耗して削れ
徐々に変形していくという経過をたどります。
主な症状は股関節の痛みで、関節の動きも制限されます。
このような股関節の変性が
脚長差の原因となる可能性は大いにあると言えます。
2. 変形性股関節症によって脚長差が生じる理由
変形性股関節症では関節面が摩耗して削れるので
削れた分、脚は短くなります↓
↑向かって右側の股関節では
関節面が削れて関節面どうしが接触し
隙間がなくなり詰まっています。
脚が短くなってしまうのは明らかです。
さらにこの関節の摩耗が進むと
大腿骨のボール(以下:大腿骨頭)は
青矢印方向にズレやすくなります↓
このように大腿骨頭が上外側へズレると
骨頭がズレた分、脚はさらに短くなります。
以上の
・関節面の摩耗による削れ
・大腿骨頭の上外側へのズレ
これらが変形性股関節症で脚長差を生じる主な理由です。
つまり変形性股関節症側が短くなります。
3. 脚長差が原因で変形性股関節症となってしまうことはあるのか?
ではこれと逆に、脚長差が原因で
変形性股関節症になってしまうことはあるのでしょうか?
実際、軽度の変性も含めれば
これは非常に良くあること、と感じています。
理由はとても単純で
脚が長い側では股関節への圧縮力が強まり
関節を摩耗してしまうからです。
加えて脚長差があると骨盤が傾くため
長い側の大腿骨頭は上外側にズレやすくなり
骨盤のカップ(以下:臼蓋)の外側と衝突し
股関節は局所的に摩耗していきます↓
このストレスが毎日繰り返されると
脚長差が原因で変形性股関節症に移行してしまう
可能性は十分にあると言えます。
加えてここに臼蓋形成不全(臼蓋が浅い)があると
変形性股関節症に移行する可能性は
さらに上がってしまいます。
ただこれは裏を返せば
股関節が壊れる前に脚長差への対応を行えば
脚長差が原因での変形性股関節症は予防できる
ということでもあるのです。
4. 脚長差によって変形性股関節症を呈した症例
70代の女性。
脚長差が少しあり
長い側の太ももの痛みで長年悩んでおられました。
数年前はかなり痛かったが最近は比較的マシ
とのことでした。
インソール(短い側へのヒールパッド)で
骨盤の傾きを是正し
ほどなくして痛みは軽減した症例でした。
(痛み消失には至れなかった記憶があります。)
この方、レントゲンを確認すると
脚が長い側の股関節がかなり削られていて
まさに「変形性股関節」という状態でした。
…と、ここで疑問が浮かびます。
長いのに削れている??
これだけ削れていて長い…?
短くなってるはずなのに…?
???と思って昔のレントゲンもさかのぼると
約5年間分の股関節のレントゲンがあり
この5年の間で着実に股関節が削られていく経過が
レントゲンに写っていました。
(5年前の股関節はほとんど削れていなかった)
このレントゲンから
・5年前はもっと大きな脚長差があった
・この5年間で股関節を削り痛みを生じていた
・股関節を削った分、脚長差は少しになった
ということが考えられました。
「最近痛みがマシになっていた」のは
股関節を削った分、脚長のバランスが取れ
股関節を削る量が減ったからとも予想されました。
何とも皮肉な話です…。
まさに脚長差が原因で
変形性股関節症へ移行した症例で
正直「5年前にインソールを使用していればここまで早く変形しなかったのでは…」
と思わざるを得ない、考えさせられる症例でした。
5. まとめ
・変形性股関節症では関節面が削れ変形する
・関節面が削れた分、患側が短くなる可能性がある
・逆に脚長差で変形性股関節症となる可能性もある
・脚長差が原因での変形性股関節症は予防できる
・脚長差が原因での変形性股関節症は予防したい
本日は以上になります。
お読み頂きありがとうございました。
この記事が誰かの健康の一助となりますように。
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